第七話 『初めての属性獲得』
雷属性の試験を無事合格し、入り口に戻ったオレは
雷の爺さんに言われたとおり、親父に報告する
「試験、無事合格で終わりました」
「ご苦労だったな、では」
と言った父は、ポケットから取り出した袋の中から飴玉のようなものを取り
「口を開けろ」
と言ってきた。
あれ食べれば雷が使えるようになるのか?
何も疑わずに口を開けると、父が飴玉のようなものを口に入れてきた
……。
飴だ!
「コレで雷使えるようになるとか?」
「いや、合格おめでとうってことで、飴をプレゼントだ」
「…………甘い」
当然といえば当然か。
それにしても、どうやれば雷属性を使えるようになるんだ?
「合格した時点で使えるはずだぞ?」
オレが考えていることに気づいたであろう父はそう言ってきた。
「んじゃ、試してみるか……」
父を狙って、風を出すときと同じように雷を出す
「ハッ!」
「…………」
「…………」
やっぱり出ないんじゃ……
「痛ッ痛い痛い!」
と父が叫ぶ
「お前、本当に才能無いな」
と笑いながら言ったあとに
「静電気しか起こせないじゃないか」
と言い、哀れそうにオレは見つめる
オレは
「ハハハ……」
「オレって本当に選ばれたのかな」
と言うことしかできなかった。
「う〜ん、次の試験に合格して、三種類目の属性も使えたら、選ばれた人ってこといなるが」
「コレだけ弱いと選ばれた意味が無いな!」
と笑いながら
「一応、次の試験受けてみるか」
という父の提案にオレも頷いた
「まぁ、気を落とすなよ?ちゃんと属性を強くする方法があるから」
ってことらしい。この事は属性を全部取ったあとに言うつもりだったが
オレが落ち込みすぎていた。とのことだ
オレときたら
「よっしゃ!それじゃあ全部の属性を取り終えたら強くなるぜ!」
とやる気が湧いてくる
強くする方法は
メイン属性が風の父をオレが殺すと、オレの風属性の力が父の風属性並みの力を得る。
つまり、倒した相手のメイン属性の力を手に入れることができるってことらしい。
自分より弱い相手を倒しても弱くなる。とかはなく、少しだけ相手のメイン属性に当たる能力が
強くなる。とのことだ
ただ、相手のメイン属性を自分が持ってない場合、力を得ることができないらしい。
他には
属性を強くするための試験とかもあるらしい
戦闘で強くなる前に試験で強くなったほうがいいのか……。
戦闘?
「そんな殺し合いがあるほど、この街は物騒なのか?!」
「はは、街の外が物騒なんだよ。お前はこの街の外は一回も見たこと無いからな」
なるほど
「まぁ、話を戻すが、何属性の試験を受けたい?」
「よく分からないんだけど、残りは何属性があるの?」
「んー、土、火、水……ってところか!」
父もさっきまでは少し気を使ってたのか、急に何時もの口調に戻る
「なら、水かな。何かと便利そうだし」
「そうか、それじゃあこの建物に慣れてもらわないと困るから、自分の足で行け!」
「何階ですか?お父様」
「そこにマップが載ってるだろ」
とカウンターの前にあるマップを指差した。正直、建物を見て回る暇なんて無かったから
気づかなかったが。
………。
どうやら、この建物は二十階建てらしい。
一階はカウンターで、何々の試験を受ける。ってことを報告したら貰える紙を持って試験官に会いに行かないとダメらしい。
雷の試験のときは多分、父が紙を出しておいてくれたのだろう。
二階はボウリングとカラオケで楽しめるらしい。
三階はフードコートらしい。何なんだ、この建物は?
四階は漫画喫茶としてやってきているとのこと。
五階はネットカフェ
六階はビリヤードとダーツ
七階はショッピングコーナー
八階はペットショップ
九階は買取屋
十階はゲームセンター
十一階でやっと雷属性の試験場がきて
十二階は火属性の試験場で
十三階は水属性の試験場
十四階は土属性の試験場
十五階は風属性の試験場になっていて
それ以降は一般人では入れない。というか
試験官やお偉い方々しか入れない場所らしい。ぶっちゃけ気になる。
だが、今はそんな暇はない。二階から十階までのことでツッコミを入れる暇もない
「うし、受けてくるわ」
そう父に言ったあとにエレベーターに乗る。
ブゥゥゥーン、ピーン!と音をたて、一階です。とエレベーターが伝え、扉が開く
中に入り、十三階のスイッチを押してドアを閉める。
ブゥゥゥーン……。
ブブブブ…………。
ガシャーン
「…………?!」
エレベーターが狙ったかのように止まる
おいおい、コレは誰かにオレの命を狙われてるんじゃないか?静電気とそよ風しか使えないオレが
勝てるわけないよ?
とか考えてると
『ジョークです。申し訳ありません』
とエレベーターが伝え、動きだし、無事に十三階に到着する。
エレベーターから降りて気づいたが、エレベーターの扉には
『故障中』と書いた張り紙が付いていた。故障じゃあ無いと思うが……。
何にせよ、今のオレには時間がない。八時まで、残り時間が3時間しかないのだ
雷の爺さんの試験では気合入れたりしすぎたせいか2時間たっていたらしい。
考え事をしている間に試験官が居るであろうドアを前に立つ。
心の準備はとっくに済んでいる!
「失礼しまーす」
そう言いながらドアを開けると
「はいはい、いらっしゃい」
とお婆ちゃんが座っていた。親父以外の試験官には爺さんや婆さんしかいないのか?
「あ、座って座って」
とニコニコしたお婆ちゃんだ
「それでは試験を始めます。内容は」
……。
内容はこういうことらしい
この部屋の先には十二もの部屋があり、その部屋にはそれぞれ
動物がいるという。その十二匹の動物と何かしらで勝負して勝てば次の部屋に進め、全部勝てば合格。
動物の正体は人形に命を吹き込んでいるだけだからストレス解消にぶちのめしてもいい。とのことだったが
あれ?コレって時間が足りないんじゃ……
「始め!!」
お婆ちゃんの叫び声と共にオレは急いで部屋から飛び出す
そして、隣の部屋に入ると
「美味そうな人間が入ってきたな……」
と喋る人間ほどの大きさのネズミを目の前にし、
オレはどう反応をすればいいのか焦っていた